YAMAHA Diversion (ディバージョン・XJ400S) 1991年

2012年5月〜2014年6月所有

ディバージョンは、CBR250R(MC19)よりも「快適」を意識して乗り換えたバイクです。
形式名「4BP」

1991〜93年の僅か3年間しか販売されなかったバイクです。そのため名前を言っても知らない方が多い、不遇なバイクです。
兄弟車で600cc版(形式名4HK)があります。
また、欧州の600/900cc版は一定の評価があり、2000年頃まで販売されていたそうです。

ちなみに、このディバージョンの後継車として登場したのが、「XJR400」です。こちらは皆様ご存じの通り、長く販売されました。

 

■ディバージョン購入のきっかけ…

CBR250R(MC19)をこよなく愛していた私でしたが、仕事でもバイクに乗るせいか、だんだん腰への負担が大きくなってきました。
MC19はCBRの中でも特に前傾が緩い車種ですが、それでも普段からバイクに乗ってると、その前傾が苦痛に感じてきたのです。
また、250cc直4・さらにカムギヤの甲高いモーターのような音が、運転の疲れに拍車をかけていました。

その不満が限界に達した2012年5月、おもむろに以前VTRとCBR250RRを購入した某バイクショップに行き、昔お世話になった店員さんに
「4発・カウル付きの400ccで楽なバイクはありませんか?!」と質問。

そこで店員さんが
「じゃあディバージョンなんかどうですか?」との返事。

「ディバージョン???何ですかそのバイク」というのがはじめての感想でした^^;
聞くと、ヤマハが1991年に発売したが、あまり売れなかったバイクだそう。
そして写真を見るなり、その丸みを帯びたデザイングリーンカラーに一目惚れ…

これが、ディバージョンを購入したきっかけです。

 

■ディバージョンの特徴

ずばり、
「4発・カウル付きの400ccで楽なバイク」
これに尽きます。

とにかくなんです。
CBRがレプリカ然のセパハンだったので、余計に楽に感じるのです。
ハンドルは、前過ぎず後ろ過ぎずの絶妙な位置。そして、シートは大柄で幅広く、柔らかいクッションを採用。
ロングホイール化してますので、全長は長いですが、タンク形状がスリムで、幅は抑えられています。
同じくカウル付のヤマハのFZ400や、ホンダのCB400スーパーボルドールは、タンク幅が広いため、何か圧迫感があるのですが、この車はそんなことはありません。

 

エンジンの鼓動や排気音も特徴的です。

搭載されるエンジンは、XJの名の通り、空冷4気筒2バルブ。トルクを引き出すためにロングストローク化。そのエンジンを35度前傾させてマウント。所謂ヤマハの「GENESIS」思想が採用されています。
そしてマフラーは左右2本出し。しかも、噂によるとこのマフラー、ヤマハ楽器の監修の下、左右の排気音がバラつかないように同期させて出音が図られているとのこと。

この組み合わせのためか、常用域での加速音(2〜4000rpm)は、他の車種では味わえない特筆すべきものがあります。
振動も少なく、非常にマイルド。
とあるWebサイトで「バスの後ろを走っていても苦にならない」と書かれていますが、まさにその通りで、乗り手を一切急かしません
まさに、CBRとは正反対の車と言えます。

このマイルドな特性は、一般道でも十分に体感できますが、高速道路を走ると、その真価が発揮されます。
小ぶりながら空力特性を考慮したフロントカウルと共に、どこまでも走れそうな感覚に陥ります。
このバイクで、私ははじめて名神〜東名を使って神戸〜東京を往復できました。
CBRでは、到底出来なかったことだと思います。

「風・旅・美」がキャッチフレーズと聞きましたが、まさにその言葉通りだと思います。
乗り手への負担を極力減らす工夫が、随所に盛り込まれています。

 

■ディバージョンの短所

そんな素晴らしいディバージョンですが、短所もあります。結構あります(汗)

マイルドな加速特性は、逆に言うと「変化に乏しい」のです。
CBRのように、ガンガンにエンジンを高回転域まで回す運転は適しません
一応、タコメーターは12000rpmまでありますし、実際そこまで回そうと思えば回せるのですが、全然面白くありません
信号待ちで先頭に立って、シグナルダッシュで四輪車を置いてけぼりにするような用途には向きません。

それもそのはず、パワーはCBR250Rの45馬力よりも少ない42馬力。400ccの車の中でも特に馬力が低い車両です。
しかし、その分トルクを稼ぐ構造にしていますので、実用で走るにはパワー不足はありません。

400ccに乗り換える理由を「よりパワーが欲しい車にしたい」と思っている方は、ディバージョンは真っ先に候補から外すべきです。
絶対に後悔します。

もう一つ、重大な欠点として、「フロントカウルのねじがすぐに緩んでビビリ音を発する」こと。
ねじが緩むと、特に5000rpm付近でとても不快な振動と音が出ます。
せっかくの良いエンジン音とマフラー音が台無しです。
これはかなり頭を悩ませているもので、定期的にカウルのねじを外し、中の「ウェルナット」を交換しなければなりません。
しかも、このねじが非常に外しにくく、交換するのも一苦労…
これさえ無ければ、本当に完璧な「ウィンドツアラー」なんですけどね。

また、幅が絞り込まれた車体とはいえ、やはり400ccなので、取り回しや小回りは250ccに比べると劣ります。
まー、これは400cc以上の排気量車共通に言えることだと思いますが。

最後に、シート高が若干高く(770mm)重心も高いため、低重心の安定性を求める人にも向きません。

 

ヤマハらしい柔らかなフォルムを身に纏ったディバージョンは、乗り味もとにかくマイルド。
個人的には、このバイクはのんびりと走らせて、じっくりと周りの風景を味わうのが最大の醍醐味でした。
どんな風景もゆったりと目に映してくれていました。

 

 

 


▲ディバージョンを撮影した写真は、旅先のものばかり。
形式写真が無いので、どの写真を掲載しようか非常に悩みました…。

 

 

■心に残った2年間と19,000Km

こんなに良いバイクだったのですが、私は手放してしまいました。
たったの2年で手放してしまいました。

最大の短所である「カウルの鳴き」が、ウェルナットを変えても止まらなくなってしまいました。
20年超えのバイクですから、どうしても限界が来ます。
さらに、購入時より発生していたシリンダヘッド付近からのオイル漏れが酷くなってきました。(90,000Km付近でシリンダヘッドガスケットを交換)

そして手放した最大の理由は…「私にはこのバイクはまったり過ぎた」ということでしょうか。
まだまだ「エンジンを回す走りの楽しみ」というものが、捨てきれなかったのです。
今まで多くの人が、これを理由にディバージョンを手放していると思われます。結局私もその一人になってしまったとは、何とも情けない限りです。

さらに皮肉なことに、手放してから「コイツの良さ」というのが判ってしまうものです。
ディバージョンの後継に、カワサキのZZR400を購入しました。
このクラスでは希少なツアラー車です。もちろん、ディバージョンがツアラー向けだったことから選んだ車です。
ZZRは、ツアラーの中でも特に優秀な車で有名です。しかし私の中ではディバージョンに分がある点がいくつもありました。

・カウルの防風効果はディバージョンの方が良かった。特に胸から上にかけての風の当たり方が、ディバージョンのほうがマイルドに感じた。
・ZZRは夏場のエンジンの熱が凄まじいが、ディバージョンは前傾エンジンのおかげで熱の影響は極めて少なかった。
・ディバージョンの方が細身で軽量のため、取り回しはZZRに比べて格段に軽快であった。

勿論、走りの良さはZZRの方がはるかに優れています。53ps水冷と42ps空冷では、圧倒的なパワーの差があります。
しかし、長距離をどれだけ少ない疲労度で走れるかと言われると、個人的にはディバージョンの方が有利だったのでは、と思います。
(※あくまで個人的な感想です。)

 


▲引退前日 中島PAにて(2014.06.19)

 

今でもこのバイクの思い出が、ふっと頭をよぎることがあります。
それだけこのディバージョンというバイクは、私の中で心に残るバイクになりました。
いつかまた出会えたら良いなぁ、と思っています。

 

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このページには書かなかったディバージョンのこと。